MBLA受賞者一覧

Lectureship Award MBLA 受賞者

Lectureship Award MBLA 2025 受賞者

三ツ沼 治信

東京大学大学院薬学系研究科 助教
(現所属:神⼾大学⼤学院理学研究科 准教授)


研究テーマ:sp3炭素-水素結合官能基化反応を実現する触媒システムの創製

有機分子に広く存在する炭素–水素(C–H)結合の触媒的官能基化は、医薬・農薬など高付加価値分子を短工程で原子効率よく合成するための理想的な分子変換として注目されてきた。しかし、入手容易な炭化水素原料に含まれるsp³C–H結合は極めて安定であるため、従来の単一触媒による活性化法では、高温条件や基質への配向基導入を必要とするなど、根本的な課題を残していた。三ツ沼氏は、機能の異なる複数の触媒を協奏的に組み合わせた「触媒システム」という概念によって、従来困難であった立体制御能と高い官能基許容性を同時に満たす温和なsp³C–H結合官能基化反応を実現した。特に、水素原子移動触媒・金属錯体触媒・光レドックス触媒を統合した三成分触媒系により、単純な炭化水素を直接求核剤とする触媒的求核付加反応や、温和な条件下での触媒的脱水素反応を達成し、触媒的sp³C–H結合活性化の新たな方向性を示した。

Lectureship Award MBLA 2024 受賞者

久保田 浩司

北海道大学大学院工学研究院 准教授
(現所属:北海道大学大学院工学研究院 教授)


研究テーマ:メカノケミカル法を活用した固体有機合成化学の開拓と展開

現代の有機合成化学では、まず反応させたい有機化合物を有機溶媒に溶解させて反応を行うことが一般的である。しかしながら、反応総重量の80%から90%を占めると言われている反応溶媒は、環境負荷や廃棄物増大の大きな要因となっている。さらに根本的な課題として、出発原料が有機溶媒に溶けない場合、基本的に化学反応を実施することができない。久保田氏は、ボールミルを用いたメカノケミカル合成法に着目し、この技術を精密有機合成化学に応用することで、従来の溶液ベースの合成手法の課題を克服する新しいメカノケミカル固体有機合成化学を開拓した。さらに、固体反応条件でのみ可能な選択的反応や、機械的な力で駆動する新反応および新触媒の開発にも成功し、有機合成化学の進展に新しい潮流をもたらした。

今回のMBLAツアーでは、ドイツ、スイス、米国の計9大学および2研究所を3週間かけて訪問し、我々の研究グループが推進するメカノケミカル有機合成に関する研究成果について講演を行った。本ツアーは、個人としての研究活動の発信の場であると同時に、メカノケミカル合成技術の普及の機会と位置づけ、チュートリアル的要素を取り入れた講演を準備した。欧米のトップスクールを巡り、第一線の研究者や学生と直接議論する時間は、自身の現在地を見つめ直す貴重な機会となるとともに、この新しい技術の国際的認知を高める上でも大きな意義を有するものであった。とりわけ、ポスドク時代を過ごしたUCバークレーおよびMITにおいて招待講演の機会をいただいたことは、忘れ得ぬ経験となった。

今回のツアーで強く印象に残ったのは、「常に新しいことに挑戦し続ける」という “stay sharp” の姿勢である。世界の第一線とは、単に恵まれた環境を指すのではなく、変化を恐れず挑戦し続ける人々が集う場であることを実感した。また、本ツアーを通じて得た最大の収穫は、「世界は決して遠くない」という実感である。過度に憧れる必要も萎縮する必要もなく、自らの強みを磨き続けることで世界トップレベルに伍して戦えることを確信した。第21代MBLA受賞者としての責任と覚悟を胸に、今後も挑戦を続けていきたい。

最後に、本講演ツアーの実現に至るまで長きにわたり温かくご支援くださった大津会議組織委員会の山本先生、柴崎先生、丸岡先生、ならびにMSD生命科学財団の鈴木國夫博士、内田様に心より御礼申し上げる。また、MBLA選考にご尽力いただいた諸先生方にも、この場を借りて深く感謝申し上げたい。さらに、研究者としての礎を築き、化学の魅力と厳しさを教えてくださった伊藤肇先生、ポスドク時代に多大なるご指導と刺激を賜ったDean、ならびにSteveにも深く感謝申し上げる。そして何より、日々研究室で挑戦を共にし、成功の喜びのみならず困難や試行錯誤の時間を分かち合ってくれた学生および博士研究員の皆さんに、心から謝意を表したい。本ツアーで得た経験と学びを、有機合成化学のさらなる発展と次世代研究者の育成へ還元していくことをここに誓い、結びとする。

Lectureship Award MBLA 2023 受賞者

星本 陽一

大阪大学大学院工学研究科 准教授


研究テーマ:分子間フラストレーションの精密制御で実現する典型元素触媒反応の深化

分子触媒の精密設計は、生物活性化合物および機能性材料を戦略的に合成する上で不可欠である。とくに、外部刺激応答性や分子間フラストレーションに着目した分子設計戦略は斬新である。星本氏は、ルイス塩基もしくはルイス酸がルイス酸-塩基付加体を形成する際の構造変化に着目し、分子間フラストレーションを制御する新戦略を創出することで、典型元素触媒を活用した革新的水素化反応を実現してきた。独自なトリアリールホウ素触媒を用いて、粗水素(一酸化炭素や二酸化炭素、メタンなどが混在する水素)条件下における不飽和化合物の水素化反応を世界に先駆けて実現し、分子触媒を活用した水素精製技術を提唱した成果は特筆に値する。また、外部刺激に応答して反応空間の形状や容積を大きく変化させるカルベンを用いて、典型元素錯体および有機金属錯体の新たな活用法を開拓した。

 「研究者はどこかクレイジーでなければいけない」というEric Jacobsen教授の言葉が、今も夢見心地の脳内をずっと巡る。MBLAツアーで出会った偉大な研究者たちは、誰もが独自の研究哲学をもち、個性に満ちた最高にカッコイイ分子を紹介してくれた。連日、磨き抜かれた現代の錬金術に触れ続け、舞い上がった気分になった。同時に、自分たちの分子は負けず劣らず格好良く、個性に満ちていると自負を持って確認できた。

今回のツアーでは、ドイツ、スイス、米国、カナダに属する12の大学・研究機関を4週間かけて訪問し、我々に独自なホスフィンオキシド置換型N-ヘテロ環状カルベン (PoxIm) とデザイン型トリアリールホウ素の研究成果について講演させていただいた。ネクタイも着けずジャケットだけ羽織り突撃訪問してしまったが、形式張らない自由な雰囲気の中で、教授から学生まで多くの研究者達と率直な意見交換ができた。
 MBLAから帰国後、これからの研究を、どう磨いていこうか、と妄想してワクワクしている。世界中のクレイジーな研究者たちとクレイジーさを競う、高度な競争が待っている。特定のアルファベットと多角形の組合せで、世界は変えられるし、面白くなる。重要なことは、時にはそれらの記号・図形を使うことなく、研究の面白さや重要性を他者へ適切に伝えるチカラを鍛えること、と諭していただいたことも忘れない。他の誰でもない自分たちだけのクレイジーさを武器に、今後も新たな化学の開拓に挑戦していきたい。

最後に、長年にわたり若手研究者の一人として期待し、激励し続けてくださいました大津会議組織委員会の山本先生、柴崎先生、丸岡先生、そしてMSD生命科学財団の鈴木博士、内田さんに心より御礼申し上げます。また、選考に携わっていただきました先生方、恩師の生越專介先生、そして共に夢を追い続けてくれた学生・ポスドクの皆様に深く感謝いたします。本当にありがとうございました。

Lectureship Award MBLA 2022 受賞者

山次 健三

東京大学大学院 薬学系研究科 助教
(現所属:千葉大学大学院薬学研究院 教授)


研究テーマ:エピゲノムへの合成的介入を可能にする化学触媒の開発

生命は生体分子とそれらに介在する化学反応のネットワークから成る。したがって、生体内・細胞内で人為的に化学反応を行う技術は、生命の化学ネットワークを理解し、操作する基盤技術となる。山次氏は、化学触媒によって細胞のエピゲノムに介入する新規の手法を開発した。山次氏は、求核触媒作用と動的結合交換反応を融合した複数の新規触媒システムを開発し、生細胞内のタンパク質に対して、天然から非天然にいたる翻訳後修飾を、酵素に依存せずに導入することに成功した。山次氏の開発したヒストンアシル化触媒は、純粋に化学的な手法によって細胞のエピゲノムに介入し細胞機能を変化させる初の例となり、細胞の化学ネットワークに合成化学的に介入する端緒を拓いた。

 今回「化学触媒を用いた細胞エピゲノムへの介入」という内容でMBLA講演ツアーを行わせていただきました。出発前は、ホストの先生方、講演ならびに議論に参加くださる先生方の多くが低分子有機合成化学をご専門とされる方かと思っていましたが、有機物理化学、マテリアルサイエンス、生物有機化学に至るまで、様々な背景の研究者たちとの交流の機会を用意してくださいました。いずれの講演においてもまずホストの先生が、MBLAが日本においていかに権威ある賞であるかを説明してくださり、聴衆の期待を最大限に引き上げてくれます。講演後の質疑応答あるいはその後のディスカッションにおいては、様々な背景から的確あるいは思いもよらなかった議論を頂き、自身の研究の将来を改めて考える素晴らしい機会となりました。今回の訪問では特に、独立以来華々しい活躍を遂げ次の大きな一歩を狙う同年代の研究者、そして国内外から将来を嘱望されライジングスターとなることを期待される独立したての若手研究者と議論する場を多く頂きました。彼らはいずれも、自身の研究が与えうるインパクトを高い解像度で眼中に捉えつつも、予想外のnew discoveryを歓迎するしなやかさを備えた研究アイデアを展開していると感じました。これから互いに競い合いかつ協力し合う世界トップスクールの研究者たちとじっくりと時間をかけて一対一で意見を交換できること、これはまさにMBLAの目的である「日本の若い研究者を世界でvisibleにする」を叶えた講演ツアーであったと思います。

 最後になりますが、本賞の設立以来、このような貴重な機会をご支援続けてくださっている山本尚先生、審査委員の先生方、温かいサポートを頂きましたMSD生命科学財団の皆様方に厚く御礼申し上げます。本賞に係る研究を長い目でご指導いただきました金井求先生、共に実験台に立ち研究を進めてくれた研究室員の皆様に深く感謝申し上げます。

Lectureship Award MBLA 2021 受賞者

南保 正和

名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 特任准教授


研究テーマ:スルホニル基を活かした逐次的分子変換反応の開発

南保氏は有機スルホン化合物をテンプレートとする新しい合成戦略を確立し、単純かつ入手容易な原料から複雑分子群の迅速自在合成法を開発した。反応性の乏しいC–SO結合を如何に活性化するかという従来の課題に対し、南保氏は新しい触媒・反応剤の開発とスルホニル基の分子設計に焦点を当てた研究を展開することでC–SO結合活性化を基軸とする新しい分子変換化学を切り拓いた。本研究によって、多様なsp炭素上の逐次的な官能基化を実現し、有機合成化学におけるスルホニル基の反応性官能基としての価値を明確に示した。

 研究者であれば誰もが「この研究はすごい!著者の先生はどんな方なんだろう?」と強い憧れを抱いた経験があることでしょう。その世界の第一線で活躍されている先生方の目の前で自分の紡いできた化学を披露し熱く議論できる、そんな夢のような舞台に上がる機会をいただいたMBLA講演ツアーは今までの人生で何事にも変え難い貴重なものとなりました。

 今回のツアーでは2023年10月7日-27日の約3週間、ドイツ、スイス、アメリカのトップスクール・研究機関の計10ヶ所を訪問させていただきました。私にとっては受賞から1年延期のツアーとなりましたが、それまでにもっと研究成果を出さねばと思い、待ち続けた1年でした。訪問した各所では朝から晩までフルにスケジュールが組まれ、学生時代からの憧れの先生方や覇気のある若手教員だけでなく、博士研究員、大学院生からも最新の研究成果を紹介していただきました。彼らの渾身の研究成果はまさに圧巻の一言であり、直接面と向かって議論を交わせたことは非常にエキサイティングな瞬間でした。また講演後には多くの質問や提案をいただき、今の研究の新しい方向性を見出せたことや全く新しい研究に挑戦したいという意欲が湧いてきたことは大きな収穫です。本ツアーを終えて、改めて自分の研究を客観的に振り返り新たなスタート地点に立ったような気持ちになると同時に、今度は私自身が憧れた先生方と肩を並べて立てるようになりたいと強く思いました。今回の講演ツアーで得たものを研究・教育へと活かし、一層努力していく所存です。

 筆末となりましたが、今回世界デビューの機会を与えていただいた山本尚先生、審査委員の先生方、そして多大なご支援をいただいたMSD生命科学財団に厚く御礼申し上げます。また研究をご指導いただいたCathleen Crudden教授と日々の実験結果に共に一喜一憂し、支えてくれたすべてのグループメンバーに心から感謝いたします。

Lectureship Award MBLA 2020 受賞者

大松 亨介

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 特任准教授
(現所属:慶應義塾大学理工学部 教授)


研究テーマ:イオン性分子の活用にもとづく高難度触媒反応

大松氏は、「有機イオン対の特性を引き出す」というアプローチで、独創的な配位子ならびに触媒を開発してきた。すなわち、1) 不斉配位子が担うべきニつの機能をニつの分子に分担させたイオン対型キラル配位子、2) 卓越した立体制御能を発揮するキラルオニウム複合型ホスフィン配位子、3) 1,2,3-トリアゾリウムイオンを核とする新奇有機分子触媒、4) 効率的水素原子移動反応に資する双性イオン型トリアゾリウムアミデート、である。一連の触媒創製を出発点として、数多くの高難度分子変換反応を実現し、合成化学の進展に大きく貢献した。

「対話は研究の推進力となる」今回の講演ツアーを終えて改めて実感したことです。
 私たちは、研究を進めるために日々共同研究者と対話し、議論を重ねます。各々の興味関心の違いを背景に意見を交わすことで新しい発想が生まれ、アイデアが洗練されていきます。同様に、世界を縦横する多くの対話を通して多彩な哲学・価値観と触れ合うことは、自分たちの研究コンセプトを磨き、新たに輝く側面を見出す絶好のチャンスです。MBLAツアーでの対話は質と量の両面で圧倒的で、研究者として最高の経験を積むことができました。
 訪問した欧米10ヶ所のトップスクール・研究機関では、大学院生やポスドク、着任間もない若手教員から有機化学のレジェンドまで、本当にたくさんの研究者と対話する機会をいただきました。彼らは皆、自分たちの人生をかけ、あるいは飽くなき探究心やチャレンジ精神に突き動かされて研究を展開していました。すべての会話が刺激的であり、多くのインスピレーションが得られました。また、現在と未来のトップ研究者たちに、自分の研究コンセプトを直接伝えることができる講演会は夢のような体験でした。講演後に受けた質問やコメントから新たな着想やさらに前進する自信を掴むこともできました。論文発表や学会、相互の訪問など、様々な形でこれまで以上に多くの対話を続けていけると思いますが、そのきっかけとなる出会いの数々がMBLAの真価であると感じます。ツアーで得たものを次に繋ぐため、対話する人たちに何かを与える研究ができるよう、一層精進したいと考えています。
 最後になりますが、賞の設立から今回の旅程の調整に至るまでをお世話いただきました山本尚先生、審査委員の先生方、絶大なサポートをしてくださったMSD生命科学財団の皆様方、またご指導いただいた大井貴史先生、研究をともに推進してくれた研究室メンバーの皆に深く感謝申し上げます。

Lectureship Award MBLA 2019 受賞者

平野 康次

大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻 准教授
(現所属:大阪大学大学院工学研究科 教授)


研究テーマ:極性転換の拡張に基づく新規結合形成手法の開拓

平野氏は、従来有機合成化学で利用されてきた「カルボニル基の極性転換」の概念を芳香族化合物やヘテロ元素化学種へと拡張し、多数の新規な炭素ー炭素ならびに炭素ーヘテロ元素結合形成手法の開発に成功した。すなわち、1) 銅触媒によるC–H活性化を経由する芳香族直接カップリング、2) 銅触媒による求電子的アミノ化を利用するアルケンの高位置および立体選択的アミノホウ素化とヒドロアミノ化、3) Tf2Oを用いた求電子的ホスフィン化による炭素ー炭素/炭素ーリン連続結合形成反応ならびにホスホール類の迅速合成、である。一連の研究により高難度の分子変換を達成し、合成化学の進展に大きく貢献した。

 MBLA2019として、2022年10月8日〜28日のおよそ三週間に渡り、ドイツ、スイス、そしてアメリカ3カ国を巡る海外講演ツアーに行ってきました。Covid-19のパンデミックによって2年の延期を余儀なくされたこともあり、まさしく待ちに待ったツアーです。実施の連絡を受けた時の高揚感と胸の高鳴りは今でも忘れられません。およそ個人では訪問できないようなトップスクール・研究機関計10ヶ所での招待講演は、海外経験の乏しい筆者にとって夢のような体験でした。加えて、世界のトップ・レジェンド研究者や野心に燃える若手、そして次代のライジングスター候補である優秀なポスドクや学生さんたちとのディスカッションがこれでもか、というくらい詰め込まれた濃密なスケジュールを過ごすことができました。講演後にいただくコメントや質問、そして議論から生まれる問いはいずれも自身に新たな気づきを与えてくれる創造的なものばかりで、研究者人生において、これ以上の刺激的な時間は後にも先にもないでしょう。世界がどのような視点から過去、現在、そして未来の有機化学を見ているのかを肌で体感できたことは、今後の自身の研究の方向性や在り方を考える上で大きな財産です。このような類稀ない機会を提供してくれたMBLAは唯一無二の存在であり、困難な世界情勢の中ツアー実施に踏み切ってくれたMSD生命科学財団をはじめ選考委員長の山本尚先生、本ツアーの立案者である鈴木國夫博士ならびに各地のホストの先生方には感謝の念に堪えません。

 一方で講演の中で自身の研究を振り返るにあたり、数多くの共同研究者に支えられてここまできたことを改めて認識しました。助教として研究を開始する段階から親身にご指導いただき、また自由に研究を展開することを許してくれた三浦雅博教授をはじめ、毎日一緒になってベンチに立ち続けてくれた全ての学生さんたちに、この場を借りてお礼申し上げます。

筆者のヒーローであるSeebach先生と (スイスETH)

Lectureship Award MBLA 2018 受賞者

深澤 愛子

京都大学高等研究院物質−細胞統合システム拠点 教授


研究テーマ:第3周期典型元素の特性を生かした新奇 π 電子系の創製と機能開拓

π 電子系は有機化合物の光・電子機能を追求する上で必要不可欠な存在である.真に優れた物性をもつ新たな π 電子系の創出は,基礎学術としての重要性はもとより,次世代エレクトロニクスや光技術の飛躍的な発展に直結する可能性をもつ.深澤氏は,特異な電子構造の実現と高い安定性の両立という観点からリン,硫黄などの第3周期典型元素の特性に着目し,独創的な分子設計により様々な π 共役化合物を生み出し,その機能を明らかにしてきた。一連の研究により,極めて高い耐光性をもつ蛍光色素や近赤外領域で効率よく発光する色素,二光子吸収材料,塗布型有機半導体など優れた機能をもつ物質を生み出しただけでなく,機能性 π 電子系の論理設計に重要な知見をもたらした。

Lectureship Award MBLA 2017 受賞者

熊谷 直哉

微生物化学研究所 主席研究員
(現所属:慶應義塾大学薬学部 教授)


研究テーマ:アミド化学の新展開

アミドは様々な天然・人工有機化合物に広く内包されている普遍的官能基である。熊谷氏は1)アミドの直接的なエノラート化法を駆使する触媒的不斉C–C結合形成反応の開発、2)アミドを不斉配位子とする固体触媒創製、3)新規ヘテロ環BNO骨格を特徴とするDATB触媒の開発による効率的なアミド形成反応の開発、4)立体因子をトリガーとするアミドの活性化法を開発し、アミドの化学の新たな可能性を切り拓いた。

 人間は,その長い歴史の中で知識の共有と継承を武器として多種多様な分野で叡智を積み上げて来ました。現在に生きる私たちは,過去の巨人たちの肩に乗りその叡智を享受し自然の仕組みの多くを知り得ることができ,人類独特の社会生活を営んでいます。現役のプレイヤーたる私たちが,後世に残るような新たな叡智の芽を発見するのは,個々の専門分野に限っても決して容易なことではありません。自分の理解のおよぶ安全地帯にとどまっていては,自分の考えの及ばない光り輝くパラレルワールドを認知するどころかそれに気付くことさえなく,新たな叡智の創造に至る視野と嗅覚を獲得することはできないでしょう。閾外への成長を遂げるための最も効率的な方法の1つは,1人でも多くの強烈な個性を放つ人物を目の前にして互いに意見を戦わせることであり,それこそがMBLAの真の価値であると私は考えています。

 今回,MSD財団のご厚意により,直前の英国出張と併せて計4週間の世界一周講演ツアーとさせていただきました。多くの尖った異才の先生方と直に接する機会を得て,普段は思いもよらない発想をめぐらす珠玉の時間を持つことができたと同時に,幅広い人脈を得ることができました。ひと月におよぶ濃密な時間で得られた類い希な経験は,私の一生の財産になると確信しています。

 末筆になりますが,山本尚先生をはじめとする選考委員の先生方,MSD生命科学財団の皆様方,またご指導いただいた柴﨑正勝先生,楽しみと苦しみが交差する研究を共に推進してくれた共同研究者の方々に深く感謝申し上げます。

Lectureship Award MBLA 2016 受賞者

生越 友樹

金沢大学理工研究域物質化学系 教授
(現所属:京都大学大学院工学研究科 教授)


研究テーマ:超分子集合体を形成する柱型環状分子Pillar[n]areneの合成

環状ホスト分子は、その空孔内部にゲスト分子を取り込むというホスト-ゲスト機能を示すため、超分子化学の分野において重要な鍵化合物である。生越氏は、簡単に合成することができる正n角柱環状ホスト分子Pillar[n]areneを見出した。さらにPillar[n]areneの多様な反応性を活かしたトポロジー・機能性分子の合成、正n角柱構造を活かした幾何学的デザインに基づく超分子材料へと展開し、世界の化学者が参画するPillar[n]arene 化学という新分野の端緒を切り拓いた。

 「超一流の研究者とは」講演ツアーを終えて自分に問いかけたことです。欧米トップ大学・研究所を訪問するMBLAは、こんなに凄い人がいるのか!と思う研究者との出会いの連続でした。私にはこれこそMBLAの醍醐味でした。

 今回、共同研究で滞在中のためオランダ出発で、昨年と同じ欧米トップ大学・研究所10カ所、最後に名古屋大学を訪問する計11カ所の世界一周講演ツアーに行かせて頂きました。賞を頂き嬉しかった反面、出発前は不安でした。なぜなら私が専門とする超分子化学者を訪れるこれまでの講演とは違い、有機合成化学者を訪ねる、いわば異文化交流の旅であったためです。そのため分野を問わず理解してもらえるように、講演内容を吟味して臨みました。しかし蓋を開けてみると、その心配は全くの杞憂でした。先生方からは講演は分かりやすくEnjoyできたという言葉をかけて頂きました。しかしそれは私が準備したこと以上に、ホストの先生方が卓越した研究者であったためだと思います。ディスカッション時の研究説明は私の専門を考慮した的確なもので、私の質問はまるで見透かされているようでした。講演前の私の紹介も、聴衆を惹きつける魅力的な言葉の数々とともに、講演を行う私への強いメッセージを感じました。超一流の研究者のあり方-情熱、行動力、集中力-単純な言葉では表すことのできない凄みのようなものを感じました。
またMBLAは海外の研究者にとっても日本のライジングスターは誰か?を知ることのできる注目度の高い賞であると感じました。今後は受賞者としてMBLAの価値を更に高められるように、今回勉強させて頂いたことを胸に、超一流の研究者に一歩でも近づけるよう挑んでいきたいと思います。

 最後になりますが、超分子化学者である私をMBLAに選出いただいた山本尚先生をはじめとする審査員の先生方、MSD生命科学財団の皆様、またご指導いただいた中本義章先生、山岸忠明先生、研究を共に頑張ってくれた学生のみんなに感謝申し上げます。

Lectureship Award MBLA 2015 受賞者

前田 理

北海道大学大学院理学研究院化学部門 准教授
(現所属:北海道大学大学院理学研究院 教授)


研究テーマ:有機反応の系統的な理解と設計へ向けた反応経路自動探索法の開発

構造最適化計算は、化学反応の機構をコンピュータによって調べる際の強力なツールへと発展した。しかしながら、構造最適化計算では調べるべき反応機構がある程度分かっている必要がある。このため、複雑な多段階反応や機構が完全に未知である反応を解析することは難しかった。前田氏は、この問題を解決する反応経路自動探索法を開発した。前田氏の反応経路自動探索法は様々な化学反応へと応用され、反応機構、反応の選択性、分子の光応答などの解明において威力を発揮している。

 「本当に私でよいでしょうか?」というのがこの賞をいただいたときの率直な感想でした。2004年にMBLAが始まって以来、計算機のみを相手にする化学者として初めて、このツアーに参加させていただきました。私でよかったかどうかはさておき、個人的には、このツアーでしか味わえない数々の得難い経験に、大変なありがたみを感じています。

 どこに行っても質問されたのが、「反応をこの方法でどこまで予測できますか?」というものでした。「単純な系ではもちろんYESですが、系が複雑になってくると計算時間や計算精度の面で難しい場合があります」というのが私の答えなのですが、(少なくとも表面的には)おおいに期待を示してくれる人が多い中、実際に自分達の反応に適用し試してみたいという人、系に依存するという私の回答に煮え切らない様子の人、などなど、反応は様々でした。あるホストの先生(もちろん有機合成の先生)は、自分のグループでプログラムを使いたいから、最新版がリリースになったら連絡してください、とおっしゃっていました。理論家の話に聴衆が退屈しないかと不安でしたが、トップ大学・研究所の方々を相手にこの心配は不要であったと思いました。

 講演以外の時間は、ホストの先生方や学科のスタッフ・学生の面々とのディスカッションでした。最先端の有機合成に、分析、計算、インフォマティクスなどを織り交ぜた刺激的な討論を、連日たくさんの方々とさせていただきました。私の訪問を受け入れてくださったホストの先生方や討論していただいた方々に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 最後になりますが、理論家である私に本賞を出すことをご決断いただいた山本尚先生をはじめとする審査員の先生方、ならびに、MSD生命科学財団の皆様に深く感謝を申し上げます。また、研究をご指導していただいた諸熊奎治先生、大野公一先生、武次徹也先生、これまで支えて下さった共同研究者や学生の方々に、心から感謝申し上げます。

Lectureship Award MBLA 2014 受賞者

鷹谷 絢

東京工業大学大学院理工学研究科 准教授
(現所属:大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)


研究テーマ:ケイ素配位子の動的挙動を鍵とする不飽和炭化水素の新分子変換反応の開発

元素の特性を生かした新規配位子の設計に基づく高機能性金属錯体触媒の開発は、不活性分子の新規変換反応を開発する上で重要な鍵となる。鷹谷氏は、「高周期14族元素含有ピンサー型パラジウム錯体」の創製に基づき、二酸化炭素や不飽和炭化水素の新しい分子変換反応を種々開発することに成功した。また、その高周期14族元素配位子が持つ特異な触媒機能と新しい反応機構を明らかにした。

「日本の有機合成化学は20年後どうなっていると思うか?」この講演ツアー中,何度も聞かれた質問です。まさにLectureship Award MBLA が選考対象とする我々世代の「今後」が,世界で注目されているということを実感しました。良い機会だと覚悟を決め,自分の化学研究に対する想いと夢を語り,時に熱く議論しました。教授,ポスドク,学生,企業研究者など様々な立場の海外の人々と,膝をつき合わせてこんな話ができたのも,MBLAの醍醐味の一つではないでしょうか。MBLAが,人とその未来に投資する賞である,というのがよくわかります。

 今回,11人目のMBLA受賞者として,欧米のトップスクール等10カ所を回る世界一周講演旅行に行かせていただきました。日本の若手研究者にこのような素晴らしい講演ツアーの機会を与えてくれるMBLAは,唯一無二の存在です。他では絶対にできない,本当に貴重な経験を積むことができました。紙上の憧れの存在だった巨匠達の研究哲学を直に聞き,新進気鋭の若手研究者達の研究プロポーザルに刺激を受け,新しいChemistryが芽吹く予感にドキドキしながら,大いに議論を楽しみました。また彼らは一流の教育者でもあり,その努力の結晶たる学生達は,皆目を輝かせながら自分の研究成果を自信満々に説明します。この3週間は,純粋にChemistryを楽しむと同時に,自分に足りない部分を再認識し,化学研究と教育に対する想いを新たにする最高の機会でした。20年後,冒頭の問いに対する答えを自信持って示せるよう,今回の経験を糧により一層努力していきたいと思います。

最後に,このような素晴らしい機会を与えてくださいました山本尚先生,審査委員の先生方,ならびに万有生命科学振興国際交流財団の皆様に厚く御礼申し上げます。また研究をご指導いただいた岩澤伸治先生,一緒に実験を頑張ってくれた学生の皆様に心から感謝いたします。

Lectureship Award MBLA 2013 受賞者

浦口 大輔

名古屋大学大学院工学研究科 准教授
(現所属:北海道大学触媒科学研究所 教授)


研究テーマ:反応性イオン種の制御を志向したキラル有機イオン対触媒の創製と応用

アニオンは最も基本的な活性種であり、これを自在に制御できれば様々な立体・化学選択的結合形成が可能になる。しかし、距離と方向性があいまいなイオン間力で結ばれた対イオンによる直接的な制御は難しい。浦口氏は、水素結合供与能をもつカチオンを利用して「イオン対に形を与える」という戦略に基づき、P-スピロ型アミノホスホニウム塩およびアンモニウムベタインを創製し、これらをキラル分子触媒としてアニオン種を精密に制御することで高選択的分子変換を実現した。

この度、10人目のMBLA受賞者として欧州・米国を横断し、飛行機の軌跡を辿れば世界を一周するという講演ツアーの機会を与えていただきました。昨年の鳶巣先生と同じ9か所に米国Princeton大学を加えた世界に冠たる10か所のInstitutesをめぐる旅は、自分にとって想像を超えた奇跡のような経験でした。ディスカッションタイムに出会う美しい化学にときめき、論文でしか会ったことのない著名な教授との議論に興奮し、対等に議論をこなす若い学生に感心しながら、強い刺激を受けつづける日々があっという間に過ぎていった気がします。また、毎日のように同じ化学について話をしても毎度違う反応が返ってくるという感覚が印象的で、異なる文化・嗜好を持つ集団に対して連続して講演をする本ツアーだからこその醍醐味を存分に味わいました。一方、自分自身の内面にとっては、これまでにかかわった人々への感謝を新たにし、将来の自分に思いを馳せるまたとない貴重な時間でもありました。同時に、学生たちと研究グループを立ち上げてからの約8年が導いてくれた望外の幸運を、この先の化学に活かしていく責任を感じながらの旅だったようにも思います。20日間の旅程を終えて今、このユニークな賞を創設した山本尚先生、鈴木國夫さまをはじめとした関係者の皆様の志を感じ、あらためて胸が熱くなる思いです。

ハーバードのオフィスに架かっていたR.B.Woodward先生の肖像画

最後になりますが、設立から今回の旅程の調整に至るまでをお世話いただきました山本尚先生をはじめ、審査委員の先生方、万有生命科学振興国際交流財団の方々、各大学のホストの先生方に厚くお礼申し上げます。また、研究をご指導いただいた大井貴史教授ならびに共同研究者である学生達なくしてこのような経験をすることはかなわなかったことはいうまでもなく、この場を借りて深く感謝申し上げます。

Lectureship Award MBLA 2012 受賞者

鳶巣 守

大阪大学大学院工学研究科 准教授
(現所属:大阪大学大学院工学研究科 教授)


研究テーマ:不活性シグマ結合の触媒的変換反応の開発

従来の手法では利用することが困難であった強固な化学結合を切断し、変換することができれば、有機合成における戦略を原理的に多様化することができる。鳶巣氏は、炭素-酸素、炭素-炭素、炭素-ケイ素結合などの不活性結合の変換を可能にする一連の触媒反応の開発に成功した。これらの反応により、メトキシ基やシアノ基を直接、種々の置換基へと変換することができる。

Lectureship Award MBLA 2011 受賞者

新谷 亮

京都大学大学院理学研究科 助教
(現所属:大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)


研究テーマ:遷移金属触媒による環状有機化合物の高選択的合成法の開発

環構造を有する有機化合物は様々な分野で利用される有機物に広く見られ、その役割は非常に大きい。従って、多様な環状有機化合物を自在に合成し供給する方法の開発はきわめて重要である。新谷氏は、様々な環状有機化合物を触媒的に効率よく合成する新しい方法の開発を目的とする研究をおこなった。とくに「分子内に求核部位をもつ2価のπ-アリルパラジウム種」の触媒的発生とその利用を鍵とした新規触媒反応の開発に成功し、既存の方法ではアクセスが困難な様々な環状化合物の高選択的な合成法を確立した。

Lectureship Award MBLA 2010 受賞者

松永 茂樹

東京大学大学院薬学系研究科 講師
(現所属:京都大学大学院理学研究科 教授)


研究テーマ:多点配位性キラルリガンドに基づく多核協奏機能不斉触媒の開発

松永氏は、独自の多核性不斉配位子を基盤とする様々な多核金属触媒系の開発に成功した。多核金属錯体中の適切に空間配置された各々の金属中心が協奏的に機能することで、数多くの触媒的不斉炭素─炭素及び炭素─窒素結合形成反応において高い立体選択性が実現された。含窒素化合物を中心とする種々の光学活性合成素子を高い原子効率にて合成する手法を確立すると同時に、医薬化合物の触媒的不斉合成への応用も行った。

Lectureship Award MBLA 2009 受賞者

中尾 佳亮

京都大学大学院工学研究科 助教
(現所属:京都大学大学院工学研究科 教授)


研究テーマ:協働金属触媒による炭素―炭素結合形成付加反応

分子を事前に官能基化することなく、新しい炭素―炭素結合の構築を可能にする有機合成反応の創出は、現代有機合成の最も重要な研究課題の一つである。中尾氏は、安定な炭素―水素結合および炭素―炭素結合を遷移金属とルイス酸の協働触媒作用によって活性化して、不飽和化合物を挿入させることによって新しい炭素―炭素結合を直接構築できる新反応を多数開発した。

Lectureship Award MBLA 2008 受賞者

大森 建

東京工業大学大学院理工学研究科 准教授
(現所属:東京科学大学理学院化学系 教授)


研究テーマ:多環構造をモチーフとする生理活性天然物の全合成研究

近年、比較的低分子量の二次代謝産物が、核酸やタンパク質等の巨大分子の構造や機能調節に重要な役割を果たしていることが明らかになり、注目されている。しかし標的となる化合物は複雑で不安定な構造を有するものが多いため、それらの試料供給が困難であり、関連諸分野の進展を著しく妨げている。大森氏は、既存の方法の組み合わせでは非効率あるいは到達困難な化合物を合成標的として積極的にとりあげ、それぞれの実践の場で直面する問題を、独自のアイデアに基づいた斬新な合成戦略を立案、実践することによって解決し、実際にマクロリド、多環芳香族化合物、フラボノイド等、多岐にわたる天然有機化合物の全合成に関し卓抜な成果を挙げた。

Lectureship Award MBLA 2007 受賞者

伊丹 健一郎

名古屋大学 物質科学国際研究センター 准教授
(現所属:理化学研究所 主任研究員)


研究テーマ:オレフィンや芳香族化合物の触媒的直接化学変換に基づく機能性物質合成

有機化合物の機能発現における最も重要な基本構造のひとつである不飽和有機化合物の革新的分子変換法の確立は、合成化学者に課せられた重要な課題である。伊丹博士は、オレフィン、芳香族化合物、ナノカーボンなどの不飽和有機化合物の直接的化学変換(主に炭素_水素結合変換)を可能にする新触媒、新反応剤、新反応を開発するとともに、数々の光・電子機能性物質や薬理活性物質の創製に成功した。

Lectureship Award MBLA 2006 受賞者

寺尾 潤

大阪大学大学院工学研究科 助手
(現所属:東京大学大学院総合文化研究科 教授)


研究テーマ:アニオン性遷移金属錯体を触媒活性種とする炭素-炭素及び炭素-ケイ素結合形成反応の新方法論

アニオン性錯体の特性を活用した新しい反応原理に基づく触媒系の創出を目的とし研究を行った。その結果、(i)アニオン性錯体の中心金属の高い求核性を利用するクロスカップリング反応の開発、(ii)アニオン性錯体に配位したオレフィン類の求核的活性化を鍵とする位置選択的アルキル化及びシリル化反応の開発、(iii)アニオン性錯体を1電子移動剤として利用するラジカル反応の開発に成功した。

Lectureship Award MBLA 2005 受賞者

金井 求

東京大学大学院薬学系研究科 准教授
(現所属:東京大学大学院薬学系研究科 教授)


研究テーマ:触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応の創製と応用:四置換炭素のキラリティー制御

不斉触媒の設計において、Lewis酸-Lewis塩基多点認識概念およびソウトメタル-ハードアニオン共役触媒概念を確立し、従来は困難であった不斉四置換炭素の触媒的構築に成功した。また、開発した不斉触媒を活用し、多くの医薬化合物の合成も達成した。

Lectureship Award MBLA 2004 受賞者

井上 将行

東北大学大学院理学研究科 助教授
(現所属:東京大学大学院薬学系研究科 教授)


研究テーマ:神経細胞に作用する天然有機化合物の全合成

複雑な化学構造を有する生理活性天然有機化合物、特にTMC-95A、MerrilactoneおよびCiguatoxin等の全合成における斬新且つ独創的な効率的合成法の開発とその優れた合成戦略。